2008年03月05日

ヴォーリズ建築展~番外編③~

「間」という表現の前に「ルビンの壺」のところでは「図」と「地」という表現がされていて、建物=「図」とそれ以外の空間=「地」という考えの中で、実は建物のない空間である「地」を生かすということでは神戸女学院の場合も関西学院大学の場合も中央の大きな広場が印象的なのですが、そこから離れた場所にある建物の前にもちょっとした広場がたくさん作られています。その広場というのが住宅設計の時の居間にあたるのではないか、つまり「学園建築においての広場はリビング」という話でした。

先日の見学会でも「九尺二間」のヴォーリズ山荘のところでハウスとホームの説明でもありましたが、ヴォーリズは以下の事を語っています。

「台所と寝室があれば家(ハウス)です。けれども、家とホームは違います。居間ができて初めてホームの資格になる。」

「住宅の美的思想は、主として居間に於いて現れる。」

台所と寝室の「ハウス」は「生きる」「暮らしを守る」場所、「ホーム」はそれにリビングを加えることで家族とのコミュニケーションを通じて「人間らしく生きる」空間も含まれた場所だということでしょうか。

ヴォーリズ建築設計事務所の逸話についてはこのようなことも。
大同生命ビルの設計で米国人設計技師が全体のデザインを受け持っていたのですが、それにヴォーリズが納得しなかったため日本人で最も信頼していた佐藤久勝にヴォーリズが再デザインを依頼し、別の有能なドラフトマン(彼自身もデザインを手掛ける力量が十分ある)がこれを製図したらしいのですが、それらが本当に自然に何のいさかいも起こらず進行したといいます。

前にも書いたように場を和ませる生来のヴォーリズ自身の人柄もありますが、そこに辿り着くために社内ではヴォーリズも含め全員が「さん」付けで呼び合うということなど文字通り「兄弟」として徹底して全ての社員が平等であるということによって、よりいっそう社員がヴォーリズに対して全幅の信頼を置くことへと繋がったのだと思います。

最終的には人生を終えた後も「恒春園」(近江兄弟社霊園)で自分の家族や社員・社友たち(ヴォーリズさんにとっては家族と同じ)と一緒に眠っていらっしゃることでも明らかですね。(ここは私のおまけ)(デューク)



Posted byほんもの探検隊at16:54 Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
SPONSORED
プロフィール
ほんもの探検隊
「ほんもの探検隊」とは? 滋賀県中小企業家同友会・有志を中心に、あらゆる「本物」を探し・体験し・発信する「探検隊」です!
< 2025年05月 >
S M T W T F S
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
アクセスカウンタ
オーナーへメッセージ
QRコード
QRCODE
Information
ログインはこちら
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 6人